5年生で学習する『速さ』の単元では、”速さ”を求める問題の他に、”時間”や”道のり”を求める問題があります。

また、速さにも時速・分速・秒速など単位が異なるものもあり、より問題が複雑になり子どもたちを苦しめます。

そこで、速さの問題を解く上で、困ってしまいがちなところとそれを解決するための3つのポイント。それと、代表的なややこしい問題の解き方を一つ紹介します。

速さ 3つのつまずきポイン みんなが苦手な問題
  1. 「速さ」がよくわからない

  2. 式がたてられない
  3. 時速を秒速に直したり、kmをmに直したりの単位変換ができない
  4. 電車がトンネルを通過する問題が解けない

「速さ」がよくわからない

 算数は、覚えることがとても少ない教科です。(記憶力が悪い私は、ここが大好きです。)その数少ない覚えなければならないことに、『定義』があります。『速さとは、どういうものなのか』ということです。ここが、曖昧だと、問題を考えるときに致命的に困ってしまいます。逆にいうと、ここをしっかりと理解してイメージを持てるようになっていると、問題を自力で解決できることにつながります。

教科書に書かれている定義

速さは、単位時間に進む道のりで表す

速さ=道のり➗時間

時速・・・1時間あたりに進む道のりで表した速さ

分速・・・1分間あたりに進む道のりで表した速さ

秒速・・・1秒間あたりに進む道のりで表した速さ

なんかよくわからない・・・

これをイメージできるように噛み砕くと、

速さをイメージする

(例)時速というのは、1時間に何km進むかということ。

時速60kmなら、1時間で60km進んでいく速さのこと。

もし、時速 60kmの車に乗って信号がなかったら、60km離れたところまで行かれる。

もし時速60kmで2時間進んだら、60kmの2倍の120km進む。

時速60kmより時速100kmの方が1時間に長い道のりを進むから、時速100kmの方が速い。

このように『時速』について色々と広げて考えると、理解が深まりイメージできるようになります。イメージできるということは、その考え方が自分のものになり、使えるようになることだと思います。

式がたてられない

 速さの問題には、速さ・時間・道のりのいずれかを求める3通りの問題があります。

速さの3つの公式
  • 速さ=道のり➗時間
  • 道のり=速さ✖️時間
  • 時間=道のり➗速さ

 これらの3つの公式を覚えるために

 を使う、という話をよく聞きます。

すぐに忘れちゃうんだよね・・・

でも、先ほどの『速さ』が何かをきちんと理解しイメージできれば、公式なんか覚えなくても式は立てられます。

「時速は、1時間にどれだけ進むかということ」だけ理解できていれば
式は立てられる

問題① 7時間で350km進みます。時速を求めましょう。

   時速は、1時間にどれだけ進むかということなので、

   350➗7=50 時速50km

問題② 時速50kmで6時間進みました。何km進みましたか?

   1時間に50km進む速さで6時間進んだので、

   50✖️6=300 300km

問題③ 時速40kmで60km進むには、何時間かかりますか?

   1時間で40km、2時間で80kmだから、1時間と2時間の間に答えがある。

   60kmを40kmずつ分けていくイメージなの

   60➗40=1.5 1.5時間

公式を忘れても、自分で式を作り出すことができます。

問題文の中に小数や分数が出てくると、イメージすることが難しくなりがちです。そういう時は、簡単な整数に置き換えて式を作って考えると良いです。このことについては、また別の回に書きたいと思います。

時間の単位変換が難しい

速さの問題でイヤなところは、問題文の中の数値の単位がそろっていないことが多いということです。

『時速900キロメートルの飛行機と秒速340mの音の速さでは、どちらが速いでしょう。』

のような問題です。

ポイント1

速さの問題では、問題文を読むときに単位がそろっているかどうかに留意します。そして、単位がそろっていないことに気づくことが、まず大切です。

上の問題は、速さの単位時間は時速と秒速で違いますし、速さの道のりもkmとmで違います。ですから、両方の単位をそろえる必要があります

どちらからそろえても構いませんが、できるだけ小数より整数で計算できる方が楽かと思います。

ここでは道のりの単位をmに、単位時間の単位を秒にして、秒速何mになるかでそろえていきます。

まず、1km1000mなので、時速900kmは、時速900000m。

次に単位時間をそろえます。1時間は60分。1分は60秒ということは、必ず覚えておかなければいけません。うっかりすると、100で割ったりかけたりしてしまうことがあります。

ポイント2

1km=1000m   1時間=60分  1分=60秒

 という単位変換の基本は、必ず覚えておく。

1時間に9000000mということは、60分で900000m進むということなので、1分でどれだけ進むかを考えるには、

900000➗60=15000 分速15000m

1分間に15000mということは、60秒で15000m進むということなので、1秒間でどれだけ進むかを考えるには、

15000➗60=250 秒速250m

慣れてくれば、1時間は60✖️60=3600 3600秒

なので、900000➗3600=250 秒速250m

と計算することもできます。

よって、答えは 音の方が速い となります。

ポイント3

単位を揃える。

大きい単位を小さい単位に揃える方が、整数で計算できることが多いので楽。

電車がトンネルを通過する問題が解けない

速さに単元の終わりの方に出てくる問題です。なかなか厄介ですね。

問題 長さ60mの列車が、時速126kmで走っています。

   1200mの長さのトンネルを通過するのにかかる時間は何秒ですか。

① まず、電車が進んだ距離は、電車の先頭に旗🚩があると考えるとわかりやすいと思います。トンネルの入り口から、列車が完全にトンネルを出るまでなので(下の絵参照)

1200+60=1260  1260m

② 次に、時速126kmの単位を秒速⚪︎mに直します。

 1km=1000mなので、126km=126000m

 1時間は、60✖️60=3600秒なので、

 3600秒で126000m進む速さということです。

 1秒でどれだけ進むか考えると、

 126000➗3600=35

 秒速35mとなります。

 1秒で35m進むので、1260m進むのにかかる時間は、

 1260➗35=36

 答え 36秒 となります。

算数・数学全般に言えることですが、定義をしっかりと理解し、イメージできるようにしておくことが大切です。ここが基本です。速さが何かがわからなければ、問題を解くことはできません。